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どんな経費が申請できるの?事業再構築補助金_公募要領の解説

事業再構築補助金の公募要領が26日に発表されました。

事前の情報とかなり違っている部分もあり、また説明不足なところもあるため確認が必要なものの、全体の流れとしては掴めそうです。しかし申請開始が4月15日であるため、実際にどのような形で申請をするかがまだ判明しません。株主構成や役員名簿が必要になるのか、事業計画書は基本的にフリーで書いて良いのか、非常に悩むところです。

そのため、この記事では現時点で確定している部分を優先しながら、特に重要な「申請できる経費」についてお話します。

 

 

事業再構築補助金で申請できる経費は?


「事業再構築」に当てはまるかどうかは、先日「事業再構築指針」の解説でお伝えしました。今回は「事業再構築補助金で申請できる経費」をお伝えします。

まず、大まかに申請できるものは次の通りです。

①建物費

②機械装置・システム構築費

③技術導入費

④専門家経費

⑤運搬費

⑥クラウドサービス利用費

⑦外注費

⑧知的財産権等関連経費

⑨広告宣伝・販売促進費

⑩研修費

この中で重要なのは「①建設費」と「②機械装置・システム構築費」と「⑨広告宣伝・販売促進費」「⑩研修費」です。従って、以下でこの4つの経費区分について掘り下げてみます。

 

①建設費

建設費に関しては、

・専ら補助事業のために使用される事務所、生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、共同作業場、倉庫その他事業計画の実施に不可欠と認められる建物の建設・改修に要する経費

・補助事業実施のために必要となる建物の撤去に要する経費

・補助事業実施のために必要となる賃貸物件等の原状回復に要する経費

の3つが申請経費として認められています。ここで特に注目すべきなのは「事務所」や「倉庫」の建設も認められているところですね。また「事業計画の実施に不可欠と認められる建物の建設・改修」とあることから、この部分がオートキャンプ場の整備などに適用できるものと見られます。

実は公募が発表される前の段階で、最も懸念されていたのがこの「建物費」でした。なぜなら、土地の造成や植栽なども認められるかが不透明だったからです。しかし公募では「事業計画の実施に不可欠と認められる」という文言があることから、事業計画に沿った経費申請であれば認められるという解釈が可能です

建物費で注意していただきたいのは、建物の撤去や原状回復の費用のみを申請することはできない、という部分です。撤去や原状回復を伴う場合、事業拡大のため事業計画に沿って新たな事業資産(有形だけでなく無形資産も入ります)を経費で申請してください、という解釈となります。

また、土地や建物の購入費用は含めることができません。物件の賃借料も同様です。

②機械装置・システム構築費

次に機械装置・システム構築費です。この項目では次のような経費が申請できます。

・専ら補助事業のために使用される機械装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)の購入、製作、借用に要する経費

・専ら補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システム等の購入・構築、借用に要する経費

・上記と一体で行う、改良・修繕、据付け又は運搬に要する経費

今回の補助事業で使用する目的であれば、システム開発なども経費として申請できると捉えられそうです。ちなみにリースやレンタルの費用も計上できますが、期間中(交付決定後1年間)の費用のみ経費として申請できる形となります。

中古設備も経費として申請できますが、その場合は導入設備に対して3者以上の見積が必要となります。

 

⑨広告宣伝・販売促進費

実は申請に際して特に見落とされるのが、この「広告宣伝・販売促進費」です。建物の建設や機械設備の導入ばかりに目がいってしまうと、実際に製品や商品サービスを訴求する手段である「広告宣伝・販売促進費」がおろそかになってしまいます。

すると肝心の「利益」につなげることが難しくなりますので、新事業を検討する際には必ずこの項目にかかる経費を入れていきましょう。「広告宣伝・販売促進費」で計上できる経費は次の通りです。

・本事業で開発又は提供する製品・サービスに係る広告(パンフレット、動画、写真等)の作成及び媒体掲載の経費

・展示会出展(海外展示会を含む)、セミナー開催、市場調査、営業代行利用、マーケティングツール活用等に係る経費

基本的には今回の補助事業にかかる経費のみが申請できます。従って、単なる会社案内のパンフレットや会社名を掲載した看板は対象外となります。

広告宣伝や販売促進を3分の1の費用で実施できることは、非常に大きなメリットです。特に新事業などリスクが高い事業では、この経費をどれだけ効果的に活用するかで事業の成功率も変わってきます。

 

⑩研修費

最後に「研修費」です。研修費では次の経費を計上することができます。

・本事業の遂行のために必要な教育訓練や講座受講等に係る経費

主に新事業にかかるノウハウや実務上の研修を行う場合に活用できる経費です。組織力の底上げを図ることもできるため、使い方次第では広告宣伝・販売促進費と同じくメリットの大きい経費区分となります。

もちろん補助事業の目的以外の研修は経費の対象外です。また研修費として経費申請するには、事業計画書で「①研修名、②研修実施主体、③研修内容、④研修受講費、⑤研修受講者」の5つを記載する必要があります。

 

その他の経費

上記4つの経費以外にも、うまく活用することで新事業のリスクを減らすことができます。例えば「⑧知的財産権等関連経費」は、特許権や意匠権、商標権などの知的財産を取得するために活用できる経費区分です。

「④専門家経費」も、コンサルティングとして外部の知見・ノウハウを取り入れる視点で活用することができます(ただし日額の謝金は最大でも5万円ですので、ご注意ください)。

 

各経費の効果的な活用法

ここまでそれぞれの経費について解説いたしましたが、全体としてどのような経費申請を行うのが良いでしょうか。前述したとおり、「⑨広告宣伝・販売促進費」や「⑩研修費」を上手く活用するのが効果的です。

全体の費用としましては、新事業の戦略に沿って「①建設費」や「②機械装置・システム構築費」をメインの経費としながら、これらの設備が生み出す新製品・新商品・新サービスを利益につなげるため、「⑨広告宣伝・販売促進費」や「⑩研修費」を無理のない程度で組み入れるのが良いでしょう。

特にBtoB(対企業)からBtoC(対消費者)の事業へ転換する場合、広告宣伝や販売促進は特に重要です。その点を見落とすと非常にリスクの高い事業となってしまいますので、忘れずに組み入れるようにしましょう。

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